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介護士はまとめ髪が適切って本当?
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介護士の髪型には、衛生と安全を重視した「まとめ髪」が推奨されます。業務中に髪が顔にかかったり、器具に絡まることを防ぎ、感染予防にもつながるためです。本記事では、厚労省のガイドラインや施設ごとの規定に基づき、介護士に適したまとめ髪スタイルを解説。お団子ヘアや夜会巻きなど実践的アレンジから整髪料・髪飾りの選び方、NG髪型まで詳しく紹介します。
介護士の髪型に関する規定
介護士は利用者の身体に直接触れる機会が多いため、髪型についても衛生・安全の観点から各種規定が設けられています。ここでは国や自治体のガイドライン、事業所ごとの就業規則、そして現場の衛生・安全基準を整理して解説します。
法令・公的ガイドライン
介護職に特化した法律上の細かい髪型規定はありませんが、次のような公的ガイドラインで示された基準が事実上の指針となります。
感染予防ガイドライン(厚生労働省)
厚生労働省が示す「医療関連感染防止策等の実施に関するガイドライン」では、長髪は肌や衣類への付着物を増やしやすいため、作業中は後頭部でしっかりまとめることが推奨されています。まとめ髪にヘアネットを併用し、髪が肩より下に落ちないよう管理することで、飛沫やほこりの混入を防ぎます。
労働安全衛生法に基づく指針
労働安全衛生法施行令や各種指針では、介護用具やリフト操作時に髪が巻き込まれる事故を防ぐため、「作業に支障がない髪型」「耳や首周りが塞がらないスタイル」を求めています。具体的には、まとめた髪が背部リフトや車いすの車輪に触れない長さ・装飾品の使用制限が挙げられます。
施設ごとの就業規則
各介護施設では、安全管理やブランディングの一環として独自に髪型規定を設けています。たとえば社会福祉法人東京都社会福祉協議会の運営施設では、「髪色は黒またはダークブラウン、パーマは緩やかなウェーブまで」「ヘアピンは金属製でないもの」「まとめ髪は襟足より上に固定」といった具体的な運用ルールが定められています。
衛生面の基準
介護士が直接利用者の皮膚や衣類に触れる際、髪の毛や頭皮からのフケ、整髪料が混入すると感染リスクが高まります。そのため以下の基準が求められます。
長髪の取り扱い
髪は肩甲骨よりも上の位置でまとめ、首元や顔周りに髪が垂れないようにします。ゴムやピンを用いてしっかりホールドし、作業中に緩んでこないことが必須です。
カラー・パーマの制限
染髪やパーマ液が頭皮に残留すると、整髪料と混じって衛生上好ましくないため、多くの施設で「無染色」「無パーマ」が基本となります。どうしても使用する場合は、低刺激・無香料の製品を選び、施術後最低1週間程度あけることを推奨しています。
安全面の基準
介護器具やベッド・リフトとの接触事故を防ぐため、以下のようなルールが設けられています。
視界・動作の確保
前髪が眉にかかる、もしくは横髪が視野を遮ると利用者の様子確認に支障が出るため、前髪はピンで固定。側頭部の髪も耳周りをクリアにし、聴覚補助具やマスクの着脱を妨げないようにします。
装飾品の制限
大ぶりなバレッタや金属製のヘアアクセサリーは引っかかりやすく、皮膚を傷つける恐れがあるため、多くの施設で樹脂製クリップやゴムバンドのみ許可されています。
なぜ介護士にまとめ髪が推奨されるのか?
衛生面でのメリット
介護現場では感染症対策や清潔保持が最重要課題のひとつです。まとめ髪にすることで髪の毛が顔や首元に触れず、汗やほこりといった異物が飛散しにくくなります。さらに、ブラシや櫛で髪を整える際に落ちた毛髪が衣類やベッド上に残らず、利用者の肌や口元に入るリスクを抑制できます。厚生労働省が示す「介護サービスの質向上指針」でも、清潔管理の一環として髪型の統一や長髪の取り扱いが推奨されており、まとめ髪はその基準をクリアしやすいスタイルです。
安全面でのメリット
長い髪が動き回る介護作業中に機械やシーツ、車椅子の部品に絡まると、利用者と介護士双方向の事故につながる恐れがあります。まとめ髪で髪を首元にきちんと収めれば、引き込みや巻き込みを防止でき、転倒や挟み込みなどのトラブルを大幅に減少させられます。また、利用者が不随意に髪をつかんだ際も、髪型が安定しているため強く引っ張られる力を分散でき、皮膚損傷や不快感の軽減にもつながります。
業務効率の向上
介護士は食事介助や入浴介助、排泄介助など多様な業務を短時間で切り替えながら行いますが、髪が邪魔になると手元が見えづらくなり、ケアの質が低下する恐れがあります。まとめ髪であれば視界がクリアになるため、顔周りや手元の動きがスムーズになり、作業時間の短縮と集中力の維持に寄与します。さらに、勤務中に何度も髪を直す手間が省けるため、そのぶん利用者一人ひとりへのコミュニケーションや観察に時間を割くことが可能です。
まとめ髪以外の髪型はNG?
介護士の職場では利用者様の安全・衛生を第一に考えるため、まとめ髪以外のスタイルについても一定の制限が設けられることが多いです。施設ごとに細かな規定は異なりますが、共通するポイントは「清潔感」「髪の飛散防止」「業務の妨げにならないこと」です。
ショートヘアやボブ
ショートヘアやボブスタイルは、長い髪を後ろで束ねられないため「うしろ髪が作業時に顔にかかったり、利用者様に触れてしまう」リスクがあります。襟足や耳周りの髪が自由に動くと、転倒介助や入浴介助の際に視界や動作を妨げるおそれがあるため、以下のポイントに注意しましょう。
- 耳にかかる髪はピンで留め、顔まわりをすっきりさせる。
- 襟足までの髪は小さめのクリップやバレッタでまとめる。
- 前髪が目にかからないよう、アメピンや専用バンドで固定する。
これらの工夫により、ショートヘアやボブでも清潔感を保ちつつ、利用者様への配慮と業務効率を両立できます。
パーマやヘアカラー
パーマやヘアカラー自体が直接NGとなることは少ないものの、以下の点で制限がかかることが一般的です。
- 過度なボリュームのパーマは、髪の毛の飛散やほつれが発生しやすく、衛生管理を難しくする。
- 明るすぎる・原色に近いヘアカラーは、介護現場で求められる「落ち着いた印象」や「清潔感」と相反する場合がある。
- 市販の整髪料やスタイリング剤のにおいが強いと、匂いに敏感な利用者様の不快感を招く可能性がある。
これらを踏まえ、パーマをかける場合はナチュラルなウェーブに抑え、カラーは職場の規定に沿った範囲内(ブラウン系やダークトーン)を選ぶと安心です。また、スタイリング剤も無香料または微香性のものを使用し、こまめにブラシでほつれを整えることをおすすめします。
介護士におすすめのまとめ髪アレンジ
簡単なお団子ヘア
準備するもの
髪ゴム(シリコンタイプがおすすめ)/アメピン数本/ヘアスティック(マトメージュまとめ髪スティックなど)/軽めのヘアスプレー(ロレアル パリ エルネットなど)
手順
- 髪全体をブラシで軽くとかし、静電気やもつれを取り除きます。
- 耳より少し高めの位置でポニーテールを作り、髪ゴムでしっかり結びます。
- ポニーテールをくるっとねじって根元に巻きつけ、お団子状にまとめます。
- 形を整えながらアメピンを3~5本程度使い、崩れないように固定します。
- 毛先やアホ毛をヘアスティックで押さえ、最後に軽くヘアスプレーを吹きかけて完成です。
このお団子ヘアは短時間で仕上がり、日中の動きにも耐えられる安定感があります。
ポニーテール
アレンジ方法
- 髪全体をブラッシングしてから、頭頂部の髪を少量取って軽く逆毛を立て、ボリュームを出します。
- 頭頂部からまとめてポニーテールを作り、髪ゴムで固定します。
- ゴムの下の髪を細く取り、ゴム部分に巻きつけてアメピンで留め、ゴムを隠します。
- 仕上げに全体を手ぐしで軽くほぐし、自然な丸みを出します。
- シンプルながら清潔感があり、利用者とのコミュニケーション時にも顔周りがすっきり見えます。
夜会巻き
準備するもの
アメピン(12~15本)/クシ/ヘアバンド(シリコン製の細いもの)/ヘアスプレー
手順
- 髪を低めの位置で一つにまとめ、細いゴムで結びます。
- 結び目の下から髪をすくい、結び目部分に向かって巻き込みます。
- 巻き込んだ髪を内側に折りたたむようにし、襟足付近で形を整えます。
- 折りたたんだ毛先をアメピンで根元に固定し、全体のバランスをチェックします。
- ヘアバンドを髪の根元に軽くかぶせて、額や耳周りの短い毛を抑えます。
- 最後にヘアスプレーでしっかりキープし、就業中の動きにも崩れにくくします。
夜会巻きはフォーマル感が高く、清潔感ときちんと感を両立できるまとめ髪です。
まとめ髪を作る上での注意点
髪飾りの選び方
素材と衛生面
介護現場では衛生管理が重要なため、髪飾りは樹脂やシリコン製など水洗いできる素材を選びましょう。ナースゴムやシリコン製のクリップは消毒しやすく、細菌の繁殖を抑えることができます。使用後は石けんで洗い、定期的にアルコール消毒を行う習慣をつけてください。
サイズと装着感
髪飾りは大きすぎると利用者との接触時に引っかかりやすく、小さすぎるとすぐに落ちてしまいます。太めのヘアゴムは頭皮への圧迫が少なく、長時間の着用でも痛みを感じにくいのが特徴です。装着感を確かめる際は、鏡の前で軽く首を動かしてずれや締め付け感がないかチェックしましょう。
整髪料の使用
適切な種類と量
まとめ髪にはスタイリング力とキープ力のバランスが大切です。ワックスなら資軽いテクスチャーを選び、指先に米粒大を取って毛先から中間にかけてなじませます。ハードスプレーは20cmほど距離を置いて一吹きし、形を固定しましょう。
肌へのやさしさと洗い流し方
頭皮のかゆみや乾燥を防ぐため、アルコール成分や防腐剤の少ない低刺激タイプを選ぶことがポイントです。整髪料は毎日きちんと洗い流し、シャンプー時に指の腹で丁寧にマッサージを行いましょう。すすぎ残しがないよう、十分にシャワーで洗い流すことが清潔な頭皮環境の維持につながります。
まとめ
介護士にとってまとめ髪は、衛生面・安全面・業務効率のすべてを満たす理想的な髪型です。厚労省のガイドラインや施設規定に基づき、長髪はしっかりと固定し、装飾品や整髪料にも配慮することが求められます。お団子ヘアや夜会巻きなどのアレンジは清潔感と実用性を両立でき、利用者への信頼感にもつながります。髪型を整えることは、介護士のプロ意識を示す大切な身だしなみの一部です。
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