介護コラム
高校卒業と同時に介護福祉士資格取得を目指すには?
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高校卒業後に介護福祉士を目指す道は一つではありません。福祉系高校で専門科目を履修し専攻科へ進学するルート、養成施設で学ぶルート、現場で働きながら実務経験を積むルートの3つがあり、いずれも国家試験合格が必須です。本記事では、高卒から介護士・介護福祉士になるための流れや最短コース、メリット・デメリット、キャリアアップのポイントをわかりやすく解説します。
高卒から介護士になることが可能な3つのルート
高卒でも介護職(介護士)として就職できます。さらに国家資格である介護福祉士を目指す場合は、主に「福祉系高校ルート」「養成施設ルート」「実務経験ルート」の3つがあります。現在はどのルートでも最終的に介護福祉士国家試験に合格し、登録を行うことが必要です。
高校在学中に介護福祉士の受験資格を得るルート
福祉系高校(介護福祉分野のカリキュラムを設置し、介護実習を含む所定の科目を履修できる高等学校)で必要科目と実習を修了し、卒業することで、介護福祉士国家試験の受験資格を得られます。在学中から介護過程、コミュニケーション、認知症ケアなどを体系的に学べるため、卒業後すぐに受験・就職の両立がしやすいのが特徴です。
高校卒業後に養成施設で資格取得を目指すルート
高校卒業後、介護福祉士養成施設(専門学校・短期大学・大学などの指定課程)に進学し、厚生労働省の基準に沿った科目と臨地実習を修了すると、介護福祉士国家試験の受験資格を得られます。2年制が主流で、国家試験対策や実習を通じて基礎から実践まで幅広く学べ、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービス、グループホームなど多様な介護現場への就職に直結しやすいルートです。
働きながら実務経験を積んで資格取得を目指すルート
高校卒業後に介護職員として就職し、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所、デイサービスなどで介護業務に従事しながら、受験資格を満たす方法です。介護福祉士国家試験の受験には、通算3年以上かつ従事日数540日以上の実務経験に加え、実務者研修の修了が必要です。雇用形態は正社員・契約社員・パートいずれも対象になり得ますが、介護業務としての従事日数がカウントされることが条件です。現場で収入を得ながら実力をつけ、試験合格を目指せるのが特徴です。
高校卒業と同時に介護福祉士になるための最短コース
制度上、高校の卒業式と同じ日に介護福祉士として登録まで完了することはできません。最短ルートは、指定の福祉系高校で必要科目と実習を修了し、卒業後に専攻科(介護福祉士養成課程)へ進学、在学中に介護福祉士国家試験に合格して、修了後すみやかに登録申請を行う流れです。一般的には「高校3年+専攻科1年」の合計4年で、翌春の就職開始に間に合うスケジュールを組むことが可能です。
福祉系高校で必要な単位を取得する
介護福祉士の受験資格に対応した指定の福祉系高校で、介護の基本、介護過程、コミュニケーション技術、生活支援技術、こころとからだのしくみ、認知症の理解などの専門科目と臨地実習を計画的に履修します。進学先の専攻科での学修と国家試験科目に直結するため、カリキュラムや実習計画、指定の有無は学校の募集要項で事前に確認しておくことが重要です。
福祉系高校卒業後に専攻科へ進学する
高校卒業後は、高校併設または提携先の専攻科(介護福祉士養成課程・通常1年課程)に進学し、高度な介護過程の展開、認知症ケア、リハビリテーション、医療的ケアに関する演習、臨地実習などを集中的に学びます。専攻科在学中に介護福祉士国家試験(筆記)を受験し、例年1月頃の試験・3月の合格発表を経て、修了のタイミングで登録申請を行えば、春から介護福祉士としての就職・配属にスムーズにつなげることができます。
福祉系高校と専攻科で学ぶメリット
高校段階から専門科目と実習を積み重ねられるため、専攻科での学修が効率化し、受験対策も体系的に進めやすくなります。進路指導や就職支援が一体化しており、実習先とのマッチングを通じて内定につながりやすいのも利点です。期間面でも「高校3年+専攻科1年」とコンパクトで、国家試験合格後の登録・配属までを見据えたスケジュール設計がしやすい点が強みです。
高卒で介護職に就職してから介護福祉士を目指すには
高校卒業後に介護現場へ就職し、実務経験を積みながら介護福祉士を目指すルートです。おおまかな流れは、介護職として勤務開始→実務経験3年以上の確保→実務者研修(450時間)の修了→介護福祉士国家試験の受験・合格→登録申請となります。勤務先の資格取得支援制度やシフト配慮を活用できる職場を選ぶと、最短かつ無理のない学習計画が立てやすくなります。
3年以上の実務経験を積む
実務経験ルートでは、介護等の業務に「通算3年以上」かつ「従事日数540日以上」の実績が必要です。雇用形態(正社員・契約社員・パート)は問いませんが、身体介護・生活援助などの介護業務に従事していることが条件です。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、訪問介護事業所、障害者支援施設などでの勤務が対象になり得ます。
出勤日数でカウントされるため、長時間勤務や夜勤の有無ではなく「働いた日数」が重要です。転職・休職があっても通算可能ですが、受験時には事業所ごとの従事証明書が必要になるため、勤務記録や雇用契約書を保管し、退職時は証明書の発行を必ず依頼しておきましょう。
実務者研修を修了する
国家試験の受験には、実務者研修(総時間数450時間)の修了が必須です。通信学習と通学を組み合わせて、働きながら受講できます。カリキュラムには医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養を含む基礎)も含まれ、実技演習を通じて現場での対応力が高まります。
初任者研修修了者などは所持資格に応じて受講時間が一部短縮される場合があります。開講日程、通学日数、職場からの受講料補助や資格手当の有無、教育訓練給付金の対象講座かどうかを確認し、試験に間に合うスケジュールで計画的に修了を目指しましょう。
介護福祉士国家試験に合格する
受験には、実務経験証明書・実務者研修修了証明書など必要書類の準備が欠かせません。例年、筆記試験が冬期に実施され、幅広い領域(人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケア、総合問題)から出題されます。過去問題の反復、模擬試験、最新の出題基準の確認で合格点に到達する学習を行いましょう。
合格後は、介護福祉士として業務に就くための登録申請を行います。登録完了後に「介護福祉士(国家資格)」として名乗れるようになり、資格手当や職域拡大、キャリアアップにつながります。高校卒業からのモデルケースは、1年目に現場に慣れつつ初任者研修受講、2年目〜3年目に実務者研修修了、3年経過時点で国家試験受験という流れが一般的です。
高卒で介護士として働くメリットとデメリット
高卒介護士の3つのメリット
高卒で介護職に就くと、現場に早期デビューできるため、OJTや研修制度を通じて実践力を磨きながらキャリア形成が進みやすい。人材需要が高い分、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、訪問介護事業所など多様な就業先を選びやすく、資格取得支援や資格手当のある法人を選べば処遇改善も狙える。
若いうちからキャリアをスタートできる
高校卒業後すぐに現場に入ることで、ユニットリーダーやフロアリーダー、訪問介護のサービス提供責任者といった役割に早く手が届く。多職種連携や介護過程の展開を実地で学べるため、実務者研修や介護福祉士(国家資格)の学習にも直結しやすい。法人の研修制度やeラーニングを活用すれば、マネジメントや認知症ケアなどの専門性も段階的に伸ばせる。
現場経験をいち早く積める
食事・入浴・排泄介助、介護記録、認知症ケア、看護師やリハビリ職との連携などを日常的に経験でき、判断力と観察力が磨かれる。事故予防や看取りケアの場面も学びが多く、国家試験の事例問題や口頭試問に強くなる。早期からの実務はコミュニケーション力の向上にもつながり、利用者・家族対応の質が上がる。
人手不足のため就職しやすい
介護人材の需要が高いため、未経験歓迎の求人が豊富で、シフトの融通や夜勤手当、資格取得費用の補助、処遇改善加算等による手当支給など、就業支援が整った職場を選びやすい。特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、小規模多機能型居宅介護など、施設・在宅の両領域から適性に合う職場を選択できる。
高卒介護士のデメリットと対策
課題:無資格・未経験スタートだと初任時の賃金水準が相対的に低くなりやすい。
対策:早期に介護職員初任者研修を修了し、実務者研修まで進む。資格手当や処遇改善加算等の支給、夜勤手当、賞与制度が明確な法人を選ぶことで収入を底上げし、介護福祉士の合格でさらに昇給を狙う。
課題:シフト制・夜勤による生活リズムの乱れや身体的負担。
対策:ボディメカニクスやノーリフティングケア、移乗用リフトなど福祉用具の活用を徹底し、休憩取得と勤務間インターバルを守る。夜勤回数や固定休の取り方を面接時に確認し、無理のない勤務形態から慣らしていく。
課題:看取りやBPSD対応、クレーム対応などによるメンタル負担。
対策:スーパービジョンや多職種カンファレンスでケースを共有し、記録と振り返りで対応力を高める。事業所内の相談窓口や外部のメンタルケアを活用し、連続休暇や有給取得でリカバリーする。
課題:働きながらの学習時間確保が難しい。
対策:勤務後の短時間学習や週末のまとまった学習を計画化し、通信講座や模試、過去問アプリを活用。受験料補助や試験前休暇のある法人を選ぶと継続しやすく、合格後はケアマネジャーなど次の目標設定でモチベーションを維持できる。
課題:将来的な職域拡大に学歴要件や経験要件が絡む場合がある。
対策:現場で実績を積み、介護福祉士取得後にリーダー業務やサービス提供責任者を経験してマネジメント力を養う。法人本部の管理部門や相談業務を目指す場合は、必要に応じて通信制大学などで学位取得を検討する。
高卒介護士の給料とキャリアプラン
高卒で介護職に就く場合、給与は「基本給+各種手当+賞与(事業所による)」で構成され、資格の有無や勤務形態、配属先の施設種別、夜勤の有無、処遇改善加算の分配方法などで大きく変わります。計画的に資格を取得し、評価の対象となる役割を担っていくことが、収入とキャリアの双方を高める近道です。
資格の有無が給料に大きく影響する
多くの法人で、無資格よりも「介護職員初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」と段階的に基本給や資格手当が上がる賃金テーブルを採用しています。特に介護福祉士は資格手当の対象になりやすく、役職登用や職務範囲の拡大にも直結しやすいため、月収・年収の底上げに効果があります。
賃金には、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算などの公的加算の分配が反映されます。事業所ごとに配分ルールがあり、経験年数、保有資格、役割(リーダー・教育担当など)を基準に手当が上乗せされる運用が一般的です。加えて、夜勤手当、早遅番手当、資格手当、通勤手当、住宅手当、扶養手当などの社内規定による手当や、賞与・昇給の評価制度が収入に影響します。
配属先によっても差が生じます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入所系は夜勤を伴うため手当で収入が動きやすく、デイサービスは日勤中心で生活リズムが安定する一方、手当の種類は限定的になりがちです。訪問介護では「サービス提供責任者」などの役割に就くと手当・役職給の対象になるケースがあります。
早期に収入を高めたい場合は、実務者研修の修了と介護福祉士国家試験の合格を軸に、夜勤対応や記録・ICTの活用、チームケアの推進、感染対策・認知症ケアなど評価項目に直結する業務で成果を示すことが有効です。研修では、認知症介護実践者研修や接遇・虐待防止・身体拘束廃止に関する研修の受講も、昇給・昇格の評価材料になりやすい傾向があります(取り扱いは事業所規定によります)。
高卒からのキャリアアップ事例
現場配属後は、まず初任者研修を取得し、記録・食事介助・入浴介助・排泄介助・移乗などの基本技術と、認知症ケアや安全管理を着実に身につけます。続いて実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験に合格することで、リーダー候補としてケアの標準化や後輩指導、家族対応などの幅広い役割を担いやすくなります。
介護福祉士取得後は、ユニットリーダーやフロアリーダー、サービス提供責任者(訪問介護)、生活相談員(施設種別・法人要件による)といった役職・職種へのステップが一般的です。勤務評価や面談で希望を伝え、シフト管理、研修企画、多職種連携(看護師、リハ職、管理栄養士、ケアマネジャー等)に関与していくと、役職手当や加算配分の中心になりやすく、年収の伸びにつながります。
その先の選択肢としては、介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指し、居宅介護支援事業所や施設ケアマネでケアマネジメントを専門にする道、主任ケアマネを取得してマネジメント・地域連携の中核を担う道、あるいは現場系で副施設長・施設長・管理者として運営に携わる道があります。福祉用具専門相談員や生活支援コーディネーターなど、関連領域で経験を生かす転換も可能です(応募要件は各法人・自治体の募集要項によります)。
いずれの道でも、評価シートに基づく面談で目標(資格取得、役職、担当領域)を明確化し、研修計画とOJTを紐づける「キャリアパス」を上長と共有しておくことが重要です。配属先の種別変更(入所系・通所系・訪問系)や法人内異動、社会福祉法人・医療法人・株式会社間の転職も、経験の幅を広げ収入と役割を引き上げる手段になり得ます。
まとめ
高卒から介護士になる道は複数あり、福祉系高校や養成施設で学ぶ方法、実務経験を積んで国家試験に挑む方法があります。若いうちから経験を重ねればキャリア形成も早く、資格取得で給与や役職の幅も広がります。計画的に学習と実務を進めることで、介護福祉士として安定したキャリアアップが可能です。
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