介護コラム
介護福祉士は勤続10年でいくら手当がもらえるか?
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介護福祉士として勤続10年を迎えると、基本給に加えて処遇改善加算や特定処遇改善加算、ベースアップ加算などの手当が上乗せされることが一般的です。さらに資格手当や役職手当、夜勤手当なども加わり、給与水準は大きく変わります。本記事では、勤続10年の介護福祉士がもらえる手当の種類や相場、収入を増やすためのポイントをわかりやすく解説します。
勤続10年の介護福祉士に支給される手当の種類と相場
介護福祉士が勤続10年になると、基本給に加えて複数の手当が上乗せされることが一般的です。ここでは、介護保険の加算による手当と、事業所独自の手当のしくみと相場の目安を整理します。
介護職員処遇改善加算とは
介護職員処遇改善加算は、介護保険サービスの報酬に上乗せされる公的な原資を用いて、介護職員の賃金を引き上げる仕組みです。事業所が算定し、介護職員に限定して配分します。
支給の仕組み
事業所が加算区分を取得し、就業規則や賃金規程に基づいて、毎月の手当や賞与として配分します。配分方法は事業所ごとに異なりますが、配分基準の明示が求められます。
勤続10年の相場の目安
常勤の介護福祉士では、月1万円台から2万円台の上乗せがみられることが多く、一部は賞与に振り分けられる場合があります。
介護職員等特定処遇改善加算とは
介護職員等特定処遇改善加算は、経験や技能のある介護職員を中心に手厚く配分するための加算です。勤続10年前後の介護福祉士が対象になりやすいのが特徴です。
支給の仕組み
事業所が配分方針を定め、月例賃金または賞与で支給します。経験・技能の評価や役割に応じて配分割合が変わります。
勤続10年の相場の目安
事業所の原資と配分方針によりますが、常勤の介護福祉士で月2万円前後から3万円台の上乗せがみられます。国は導入時に「月8万円相当または年収440万円以上」を目標として示しましたが、一律ではありません。
介護職員等ベースアップ等支援加算とは
介護職員等ベースアップ等支援加算は、継続的な賃上げを目的に2022年に設けられた加算で、基本給など恒常的な賃金の底上げに充てられます。
支給の仕組み
基本給の引き上げや月例手当の増額として反映されることが多く、賃金改善計画の作成と実績報告が必要です。
勤続10年の相場の目安
常勤の介護福祉士では、月9,000円前後の賃上げ相当が配分される事例が多く見られます。
資格手当や役職手当の金額
資格手当は介護福祉士で月5,000円から20,000円程度が多く、実務者研修や初任者研修はそれより低めです。役職手当は、リーダー・サブリーダーで月3,000円から10,000円程度、主任・係長級で月10,000円から30,000円程度が目安です。
支給のポイント
勤続年数、評価、配置、業務範囲によって手当額が変わります。勤続10年で役職を任されると、資格手当に加えて役職手当の上乗せが期待できます。
夜勤手当やその他の手当
夜勤手当は1回あたり5,000円から10,000円程度が相場です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームは夜勤回数が多くなりやすく、総支給額が増えます。デイサービスは夜勤がないのが一般的で、訪問介護は夜間帯の加算が中心です。
よくあるその他手当の相場
早番・遅番手当は1回100円から300円程度、通勤手当は実費支給で上限を設ける例が多いです。住宅手当は月5,000円から20,000円程度、扶養手当は月3,000円から10,000円程度、年末年始手当は1回1,000円から5,000円程度が目安です。時間外手当は、法定の割増率に基づき全ての時間外労働に対して支給されます。
勤続手当(長期在職手当)
事業所によっては、勤続年数に応じて月数百円から数千円、または1万円台まで段階的に加算する例があります。勤続10年の節目で増額される規程も見られます。
支給形態と留意点
多くの手当は課税対象となり、社会保険料の算定にも含まれます。通勤手当には税法上の非課税枠が設けられています。処遇改善関連は月例と賞与の組み合わせで支給されることがあり、就業規則と賃金規程の確認が重要です。
勤続10年の介護士の平均給料と年収
勤続10年の介護士は中堅からベテランにあたり、給与は資格の有無、勤務形態(夜勤の有無)、施設形態、地域差、事業所規模、処遇改善の配分方法によって変わります。ここでは一般的な相場の目安をご紹介します。
介護福祉士資格の有無による給与の違い
月給の目安
介護福祉士を保有する勤続10年の介護士は、基本給に資格手当・処遇改善関連手当・夜勤手当などを含めて月給27万〜34万円が目安となります。初任者研修・実務者研修のみ、または無資格の場合は月給24万〜31万円が相場で、同じ条件なら介護福祉士が月1万〜2万円程度高くなるケースが多いです。
年収の目安と内訳
年収は月給×12カ月に加え、賞与(ボーナス)と処遇改善の配分で決まります。介護福祉士では年収360万〜470万円、無資格・初任者研修・実務者研修では年収330万〜430万円が目安である。賞与は年2回・計2.0〜3.0カ月分程度が一般的ですが、処遇改善を賞与に多く振り分ける事業所では季節賞与の比重が高くなります。
手取りのイメージ
社会保険料と税金を差し引いた手取りは、総支給からおおむね15〜20%程度少なくなります。例えば総支給30万円なら手取りは24万〜25万円前後となることが多く、夜勤回数や扶養の有無、自治体の住民税額で変動します。
施設形態別の給与水準
入所系(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・有料老人ホーム)
24時間体制で夜勤があるため手当がつきやすく、勤続10年では月給26万〜34万円、年収350万〜470万円が目安。介護度が高い特別養護老人ホームや介護老人保健施設は夜勤回数・業務負荷に応じてやや高めになりやすいです。
小規模系(グループホーム・小規模多機能)
夜勤や当直がある一方で定員が小さく、相場は月給25万〜32万円、年収340万〜440万円。認知症ケアの専門性やリーダー業務の有無で差が出る。
通所・訪問系(デイサービス・訪問介護)
デイサービスは日勤中心で月給22万〜28万円、年収300万〜380万円が目安。訪問介護は件数・時間帯で増減しやすく、月給22万〜30万円、年収300万〜420万円程度と幅があります。
地域による給与の差
都市部(首都圏・東海・関西)
東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県、愛知県、大阪府・兵庫県・京都府などは求人競争が強く、相場が高め。勤続10年では月給で地方より1万〜3万円、年収で10万〜30万円程度上振れする傾向があります。
地方圏(北海道・東北・北陸・中国・四国・九州)
家賃や物価水準が相対的に低い地域では、相場はやや抑えめになりやすです。一方で人手不足が深刻な地域や大規模法人では都市部に近い水準となる例もあります。
地域差の要因と確認ポイント
地域手当の有無、処遇改善の配分(毎月支給か賞与中心か)、夜勤回数、送迎業務の有無、残業代の算定方法が年収差を生みます。求人票では基本給と手当の内訳、賞与の支給月数、平均夜勤回数、年間休日数を必ず確認しましょう。
介護士が勤続10年で手当を増やすには
勤続10年は、経験や技能が評価されやすく、手当の上積みを狙いやすい時期です。就業規則や賃金規程を確認しつつ、資格の取得、役職への挑戦、条件の良い職場への転職という三つの軸で進めると、資格手当や役職手当、夜勤手当に加え、処遇改善加算の配分でも有利になりやすくなります。
上位資格の取得とキャリアアップ
資格は手当と評価に直結します。介護福祉士をはじめ、介護支援専門員(ケアマネジャー)、実務者研修、喀痰吸引等研修、認知症介護実践者研修、介護職員実習指導者研修などは、配置や職務の幅を広げ、資格手当や業務手当の対象になりやすくなります。
取得で対象になりやすい手当
多くの事業所で、資格手当や業務手当、リーダー手当の支給があります。また、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算は、配分方法を事業所が定めますが、「経験・技能のある介護職員等」へ手厚く配分することが義務づけられています。資格と職務の広がりは、これら加算の配分で有利に働きやすくなります。
学習・費用面の進め方
就業規則にある資格取得支援(受講費補助、合格祝金、受講日の出勤扱いなど)の有無を確認しましょう。実務者研修は通学日程の調整が必要なため、シフト責任者に早めに相談すると両立しやすくなります。学習は通信講座や動画学習を使い、移動時間も活用すると効率的です。
評価につながる実務の広げ方
新人指導、ユニットリーダー代行、委員会(感染対策、虐待防止、事故防止)の運営、ケア記録の標準化、カンファレンスの進行、家族対応、他職種連携などを主体的に担うと、経験と技能が可視化されます。評価面談で成果を事実ベースで示すと、資格手当や加算の配分、次の役職に結びつきやすくなります。
役職への昇進
ユニットリーダー、フロアリーダー、サービス提供責任者(訪問介護)、生活相談員、主任、教育担当などへの昇進で、役職手当や責任者手当、リーダー手当が加わります。勤続10年の信頼と実績を、数値や具体例で示して立候補すると道が開けます。
昇進で増える主な手当
役職手当、責任者手当、夜勤リーダー手当、オンコール手当、会議手当などがあります。名称や金額、支給要件は事業所ごとに異なるため、賃金規程と評価基準を確認しましょう。
昇進のための実績の示し方
事故やヒヤリハットの減少、介護記録の改善、稼働率や加算算定の安定、クレームの減少、新人の定着、研修の企画実施などを、期間・役割・結果で整理して提示します。推薦者(上長・看護師・ケアマネジャー)からのコメントも有効です。
勤務条件の整え方
役職は、シフト調整力や夜勤体制、会議参加、オンコール対応などが求められる場合があります。健康管理と家庭事情をふまえ、無理のない範囲で要件を満たせる体制を整えましょう。できる業務とできない業務を事前に共有すると、昇進後の負担が偏りにくくなります。
給与水準の高い職場への転職
同じ経験でも、基本給や等級制度、手当の設計、加算の配分方針で手取りは変わります。勤続10年の経験は転職市場で評価されやすく、条件改善につながりやすい時期です。
転職先選びのチェックポイント
基本給と等級制度、定期昇給の有無、賞与実績、手当の内訳(資格・役職・夜勤・扶養・住宅・通勤・地域)、夜勤体制(人数配置・休憩確保)、残業時間、休暇制度、研修支援、離職率、産休育休の取得実績を確認しましょう。処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の配分方法(対象、評価項目、支給タイミング)も重要です。
内定前に確認したい賃金規程
賃金規程や就業規則の閲覧可否、評価制度(目標管理や人事考課の運用)、試用期間中の手当の取り扱い、想定年収の試算(夜勤回数や賞与を含む)を文書で確認します。固定残業の有無や深夜割増の取り扱いも、入社前に明確にしておくと安心です。
転職活動の進め方
職務経歴書には、リーダー経験、加算算定に関わる実務、新人教育、医療的ケアの対応、業務改善の成果を具体的な事例で記載します。資格証の写しと研修修了証をそろえ、面接では配分される加算や手当の仕組み、夜勤回数など実務に直結する条件を冷静に確認しましょう。健康面と生活リズムを保てる職場を選ぶことが、長期的な収入安定にもつながります。
介護士として10年働くことのメリットとデメリット
メリット
現場力と専門性の深まり
勤続10年になると、観察力や判断力が磨かれ、転倒の予防や誤嚥の兆しの気づきなど、事故を減らす行動が自然にできます。認知症の方への関わり方、排泄・食事・入浴などの介助の工夫、看取りの場面での落ち着いた対応など、ケアの質が安定します。
利用者・家族からの信頼とケアの質向上
継続的な担当により、利用者の生活歴や好みを理解した個別ケアが可能になります。家族説明や苦情対応でも安心感を与えやすく、ケアマネジャー、看護師、リハビリ職との連携も円滑になり、ケアプランの実行力が高まります。
役割の拡大とチームへの影響力
ユニットリーダーやフロア責任者、教育係などを任される機会が増え、後輩指導や業務改善で現場を動かす立場になります。申し送りや記録の要点整理が得意になり、チーム全体のケアのばらつきを減らせます。
働き方の調整がしやすくなる
経験に裏づけられた段取り力により、夜勤・早番・遅番などのシフト相談がしやすくなります。繁忙時の優先順位付けが上手くなり、残業の抑制や有給休暇の取得計画も立てやすくなります。
記録と連携の精度が上がる
介護記録の要点を押さえ、事実と判断を分けて書けるようになります。異常の早期発見や医療職への報告の質が向上し、受診のタイミングや服薬状況の共有が適切に行えます。
デメリット
心身の負担が蓄積しやすい
夜勤や交代勤務、移乗や入浴介助による腰痛・肩の痛み、睡眠不足が重なりやすくなります。感染対策や猛暑・寒冷時の環境対応も負荷となり、体調管理に注意が必要です。
燃え尽きや意欲の低下
看取りや急変対応が続くと感情の消耗が起きやすく、達成感よりも疲労感が勝つ時期があります。「自分のケアが本当に役立っているか」という迷いが強くなることもあります。
キャリアの頭打ち感
役職の枠が限られ、昇進の機会が少ない職場では、成長実感を得にくいことがあります。同じ業務の繰り返しで新しい学びが減り、評価が見えにくいと働き続ける動機づけが弱まります。
生活リズムと家庭の両立のむずかしさ
早番・遅番・夜勤が混在するため、睡眠リズムや食事の時間が乱れがちです。家庭の行事や育児、介護との調整が難しく、急な欠勤代行で予定変更を迫られることもあります。
制度やルール変更への対応負担
介護保険制度の見直しや記録様式の変更、タブレット記録の導入など、新しいやり方への切り替えに時間と労力がかかります。現場の実情に合う運用へ整えるまでの負担が大きくなることがあります。
まとめ
勤続10年の介護福祉士は、処遇改善加算や資格・役職手当などで収入が安定しやすい時期です。ただし、金額は事業所の配分方針や施設形態、地域差によって大きく変わります。給与を高めたい場合は、上位資格の取得や役職への挑戦、条件の良い職場への転職が有効です。キャリアの節目として、自身の働き方や将来設計を見直すことが収入アップと長期的な成長につながります。
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