介護コラム
介護職で疲れが取れない原因や疲れを取るための対処法を紹介
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介護現場で身体的・精神的な負担が重なり、夜勤や不規則なシフトに追われる日々。移乗や入浴介助による肉体疲労、対人対応や人手不足によるストレスで「いくら休んでも疲れが取れない」と感じていませんか?この記事では、ボディメカニクスなどの介護技術見直し、ストレッチや栄養・睡眠の工夫、相談・環境改善から転職まで、疲労の原因別に対処法をご紹介します。
介護職の疲れはなぜ慢性化しやすいのか
介護職は利用者の身体介護や移乗、食事介助などで常に肉体を酷使します。夜勤や早出・遅出を含むシフト勤務が続くと、体内時計が乱れやすく、睡眠の質が低下。結果として、十分な休息が取れないまま次の業務に臨む悪循環に陥りやすいのです。
さらに、利用者やそのご家族とのコミュニケーション、スタッフ間の連携、緊急対応など精神的ストレスも大きな要因です。介護現場では人手不足による業務過多が常態化し、責任感やプレッシャーが精神的疲労を増幅。気づかないうちに心身のバランスを崩し、慢性疲労症候群に近い状態になるケースも少なくありません。
疲れが取れないとどうなるのか
慢性化した疲労は、集中力や判断力の低下を招き、ケアミスや事故のリスクを高めます。厚生労働省の調査でも、過重労働による過労死・過労自殺の事例が報告されており、介護職でも例外ではありません。
また、免疫力の低下から風邪や腰痛、肩こりなどの身体的不調を引き起こしやすくなり、休職や離職につながる恐れがあります。長期的には鬱症状や慢性頭痛など精神面の不調も増加し、ワークライフバランスが崩れたままでは、介護職としてのキャリア継続も難しくなるでしょう。
介護職の疲れが取れない主な原因
身体的な負担が大きい介護業務
不規則な勤務時間と夜勤の影響
シフト制による早番・遅番・夜勤の繰り返しは、体内時計を乱し、慢性的な睡眠不足を招きます。特に夜勤明けの眠気は解消しにくく、脳や筋肉の回復を妨げるため、疲労が蓄積しやすくなります。
利用者の身体介護による肉体疲労
移乗や体位交換、入浴介助など、1日に何度も繰り返される重労働は腰痛や肩こり、関節痛の原因となります。特に介護リフトがない施設では、腰や膝にかかる負担が大きく、慢性の痛みを抱えるケースが増えています。
休憩が取れないことによる疲労蓄積
利用者対応が優先され、休憩時間が削られがちです。10分程度の短い休憩では心身の回復が不十分であり、次第に疲労が蓄積して集中力低下やミスを誘発し、さらなるストレスにつながります。
精神的なストレスが多い人間関係
利用者やその家族との関係性
認知症や身体的障がいのある利用者への言動対応は、介護者に強い気遣いを求めます。家族からのクレーム対応や要望に応える際の緊張感がメンタルヘルスに影響し、うつ症状や感情の疲弊を招くことがあります。
職場の人間関係の悩み
先輩職員やリーダーとのコミュニケーション不足、いじめやパワハラなどの問題は大きな精神的負担です。意見を言いづらい職場風土では孤立感が強まり、ストレス耐性が低いと感じる原因になります。
責任感やプレッシャーによる精神的疲労
利用者の生命や健康に関わるケアミスを恐れるあまり、常に緊張状態が続きます。記録業務や報連相のプレッシャー、事故報告の責任などが重くのしかかり、慢性的な不安や倦怠感を引き起こします。
職場環境による影響
人手不足による業務過多
全国的な介護職員不足により、一人あたりの利用者数が増加しています。夜勤や残業が常態化し、時間外労働が長時間に及ぶと身体的・精神的な限界を超え、バーンアウト(燃え尽き症候群)を招きかねません。
給料や待遇への不満
介護職の平均月収は他業種に比べて低い水準にとどまりがちです。賃金に見合わない過重労働や賞与の少なさ、昇給の鈍さはモチベーション低下を招き、ストレス耐性を弱めます。
職場のサポート体制の不足
研修やフォローアップ体制が不十分だと、業務上の不安や疑問を解消できずストレスが蓄積します。産業医やメンタルヘルス研修、相談窓口の設置がない現場では、疲労感や不安を一人で抱え込んでしまいます。
介護職の疲れを取るための具体的な対処法
身体の疲れを癒すセルフケア
質の良い睡眠を確保する工夫
睡眠の質向上には寝室環境の整備が重要です。遮光カーテンやアイマスクで光を遮り、室温は夏は26℃前後、冬は15℃前後を目安にしましょう。寝る前のスマホ操作やカフェイン摂取を控え、入眠1時間前にはぬるめのシャワーで体温を調整すると深い眠りが得られます。枕やマットレスは自分の体型や寝姿勢に合ったものを選び、寝返りが打ちやすい硬さを意識すると朝の疲労感が軽減します。
食事と栄養バランスの見直し
たんぱく質、ビタミン、ミネラルを意識して摂取することが疲労回復に効果的です。朝食には卵や納豆、ギリシャヨーグルトを取り入れ、昼食・夕食では鶏胸肉や鮭、大豆製品を組み合わせたメニューを心がけましょう。ホウレンソウやブロッコリーなど緑黄色野菜でビタミンC、ビタミンB群を補い、間食にはナッツやチーズを選ぶと血糖値の急上昇を抑えつつエネルギー補給ができます。
適度な運動やストレッチの習慣化
業務後や休日にウォーキングや軽いジョギングを週2~3回、各30分程度行いましょう。肩甲骨まわりや腰まわりのストレッチを毎日5分以上行うことで血流促進と筋肉の緊張緩和につながります。体幹を鍛えるプランクやスクワットは腰痛予防にも効果的なので、無理のない範囲で継続することが大切です。
入浴やアロマでリラックス
38℃〜40℃のぬるめの湯に15〜20分の半身浴を取り入れると心身の緊張がほぐれます。バスソルトやラベンダー、ベルガモットなどの精油を数滴加えるとリラックス効果が高まります。入浴後は軽くストレッチを行い、保湿クリームで肌を整えることで心地よい眠りにつながります。
心の疲れを和らげるストレス解消法
趣味や気分転換の時間を作る
介護業務から離れて没頭できる趣味を持つと、脳がリセットされストレスが軽減します。映画鑑賞や読書、ガーデニング、手芸など、短時間で気分転換できる活動を週に1〜2回取り入れましょう。趣味の時間はスマホや業務のことを意識的に忘れ、オンオフの切り替えを図ることが重要です。
マインドフルネスや瞑想を試す
毎朝5分程度のマインドフルネス瞑想で呼吸に集中すると、副交感神経が優位になりリラックス効果が得られます。音声ガイド付きのアプリを活用することで初心者でも継続しやすく、休憩中に椅子に座って深呼吸を3回行うだけでもストレスホルモンの分泌を抑えられます。
信頼できる人に相談する
同僚や家族、友人など、気軽に話せる相手を見つけて悩みを言葉にすることで気持ちが整理されます。また、地域包括支援センターや介護職専用の相談窓口を利用し、第三者から客観的なアドバイスを受けることも大切です。
職場での負担を軽減する工夫
業務効率化の提案と実践
シフトや業務フローを見直し、無駄な作業を洗い出して改善しましょう。チェックリストや共有ツールを導入し、書類作成や記録業務をデジタル化すると負担が軽減します。改善案はミーティングで共有し、小さな成功体験を積み重ねることで職場全体の士気も高まります。
休憩時間をしっかり取る意識
定期的に体を動かし、水分補給や軽食でエネルギーを補給することで午後の業務効率が向上します。交代制勤務の場合は自分の休憩時間を事前に把握し、可能な限り業務から離れてリフレッシュしましょう。休憩室や休憩スペースでストレッチや深呼吸を取り入れることも効果的です。
同僚や上司との連携強化
日々の業務状況を共有する朝礼や終礼を活用し、負担の偏りを早期に把握できる体制を整えましょう。困ったときには声をかけ合い、助け合う文化を育むことでストレスが軽減します。感謝の言葉を伝え合うことで職場全体のコミュニケーションも円滑になります。
疲れを溜めないための予防策と働き方
ワークライフバランスの見直し
有給休暇の積極的な取得
介護職はシフト制や夜勤が多く、有給休暇を取得しづらいと感じることがあります。しかし、法定で付与される有給休暇は労働者の権利です。繁忙期を避けて早めに申請し、職場内でのシフト調整を提案しましょう。計画的に連休を取ることで、心身ともにリセットでき、慢性的な疲労の蓄積を防ぎます。
プライベートの充実
介護現場から離れる時間を意図的に確保し、趣味や家族との時間を楽しむことが大切です。週末には日帰りで温泉に行ったり、美術館やカフェで読書をしたりするなど、小さなリフレッシュを重ねましょう。プライベートの満足度が高まると、仕事中のストレス耐性も向上し、疲労回復が早まります。
自身の健康管理の重要性
定期的な健康診断の受診
職場で実施される年1回の定期健康診断はもちろん、オプションの人間ドックや脳ドックも活用しましょう。血圧や血糖値、肝機能などの数値をチェックし、保健指導や生活習慣改善プログラムを受けることで、疲れやすい体質を早期に対策できます。健康管理アプリで検診結果を記録し、次回受診までに改善点を明確化するのがおすすめです。
身体の異変に早めに気づく
肩こりや腰痛、頭痛、睡眠障害など、日常的に感じる小さな不調を見過ごさないことが重要です。日々の体調を記録する体調日誌やスマートウォッチでの睡眠ログを活用し、異変を医師に相談しましょう。早期受診・早期治療を心がけることで、深刻な疲労や長期休職を未然に防ぐことができます。
専門機関への相談や転職も視野に入れる
疲れが取れない状態が続く場合の相談先
身体的・精神的な疲労が慢性化し、自力では改善が難しいと感じたら、早めに専門機関へ相談しましょう。職場の健康管理体制や公的な窓口を利用することで、問題の早期発見と適切なサポートを受けられます。
産業医や職場のカウンセリング
勤務先に産業医が在籍している場合は、健康相談やストレスチェック結果をもとに面談を申し込めます。また、EAP(従業員支援プログラム)を導入している事業所では、外部カウンセラーとの匿名相談も可能です。上司や人事に直接言いづらい悩みも専門家に伝えやすいのがメリットです。
心療内科や精神科の受診
眠れない、動悸やめまいが続く、食欲不振など身体症状が出ている場合は、心療内科や精神科の受診を検討しましょう。医師による診断で必要に応じた投薬や認知行動療法が受けられ、休職や時短勤務の判断材料にもなります。
地域の相談窓口や労働組合
地域包括支援センターや労働基準監督署の無料相談窓口では、長時間労働やパワハラなど職場環境に関する相談が可能です。また、加入している労働組合に労働条件改善を申し入れることで、集団交渉を通じた勤務環境の見直しを図れます。
介護職としてのキャリアを再考する
現在の職場で疲労が解消しない場合は、キャリアプランを見直すことも大切です。働き方や施設形態を変えることで、自分に合った環境を見つけやすくなります。
介護職内で部署異動や施設形態の変更
身体介護の負担が大きい施設から、通所介護(デイサービス)やショートステイ、リハビリ特化型施設への異動を申請してみましょう。夜勤のない日勤帯のみの勤務や、利用者一人あたりのケア時間が比較的長い施設を選ぶことで、身体的・精神的負荷を軽減できます。
介護職以外の仕事への転職
介護職で培ったコミュニケーション力や観察力は、福祉用具専門相談員や医療事務、施設運営管理など他職種でも活かせます。資格取得支援制度を利用しながら、新しいキャリアに挑戦するのも一つの手段です。
転職エージェントの活用
介護業界に精通した転職エージェントを利用すると、非公開求人や職場のリアルな雰囲気、残業状況などの情報提供を受けられます。各エージェントを比較検討し、自分に合うサポートを選びましょう。
まとめ
介護職の疲労は身体的負担や精神的ストレス、人手不足などの職場環境が複合的に影響し慢性化しやすいです。セルフケアでは質の良い睡眠、栄養バランス、ストレッチや入浴で回復を図り、趣味やマインドフルネスで心のケアを。業務効率化や休暇取得、定期健診(厚生労働省推奨)で予防し、改善困難なら産業医や日本産業カウンセラー協会、心療内科、転職エージェントに相談して新たな働き方も視野に入れましょう。
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