介護コラム
小規模多機能型居宅介護の仕事内容は?一日の流れ、勤務時間、給与など詳しく解説
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介護職員として働く場所としてさまざまな介護施設がありますが、その中でも比較的新しいタイプの施設が、小規模多機能型居宅介護です。今回は、小規模多機能型居宅介護での仕事内容や1日の流れ、平均給与などについて詳しく解説します。
小規模多機能型居宅介護とは?
小規模多機能型居宅介護とは中重度の要介護者を対象にした、2006年4月の介護保険制度改正で生まれた介護施設です。従来、訪問介護と通所介護、宿泊を伴う短期入所はそれぞれ別の施設やサービスを利用する必要がありました。
しかし、異なる施設とスタッフによる介護となるため、複数の介護サービスを利用する要介護者の方にとっては環境の変化などによって不安や混乱が起こり、症状が悪化する可能性もありました。
そこで小規模多機能型居宅介護では、住み慣れた地域で介護を受けながら暮らせるよう、地域密着型サービスとして「通所」「訪問」「宿泊」の3種類のサービスを1つの事業所で同じスタッフが提供します。
小規模多機能型居宅介護は、その名の通り小規模な居住系施設です。1事業所あたりの定員は29名までと定められており、少人数のアットホームな雰囲気の中で介護を受けられるのが特徴です。
小規模多機能型居宅介護の仕事内容
小規模多機能型居宅介護では通所、訪問、宿泊の3種類のサービスを提供するため、幅広い業務をこなす必要があります。そこで、それぞれのサービスでどのような仕事内容があるのかをご紹介します。
通所サービス
通所サービスは、一般的なデイサービスの業務とほぼ同じです。利用者の自宅と施設間の送迎のほか、施設内での入浴・食事介助、レクリエーションや機能訓練などを行うのが主な仕事内容です。介護職員がドライバーを兼任する場合もあり、レクリエーションに関しても実行するだけではなく、企画を担当することもあります。
デイサービスの場合は利用時間や滞在期間が定められていますが、小規模多機能型居宅介護の通所サービスでは利用者に希望に合わせた時間帯や滞在時間で利用できるのも特徴です。
訪問サービス
施設へ通うことが難しい利用者には、月額定額制で一人一人の状態や希望に沿った訪問サービスを行います。訪問サービスも訪問介護員が行う訪問介護と同様に、基本的に1名が直接利用者の自宅を訪問して入浴や食事などの介助、掃除や洗濯などの生活援助も実施します。
小規模多機能型居宅介護の訪問サービスと一般的な訪問介護員が行う介護サービスが異なる点は、訪問回数やサービス内容です。訪問介護では訪問回数や時間、サービス内容などが決められているのに対し、小規模多機能型居宅介護の訪問サービスでは回数制限や利用時間に制限はありません。
24時間いつでも利用者の希望に合わせて対応する点も、訪問介護と大きく異なる点です。
宿泊サービス
小規模多機能型居宅介護には、利用者が宿泊できる居室が整っています。日中は通所サービスを利用し、通所サービスの予定を延長して宿泊サービスを利用する利用者もいます。
宿泊サービスでの主な業務は、居室に泊まる利用者への食事の提供や身体介助、夜間の見守りなどです。業務内容はショートステイと同様ですが、宿泊サービスも定額制となっており、急に宿泊が必要となった場合でも対応可能であることが、ショートステイとは異なる点です。
小規模多機能型居宅介護スタッフの一日の流れ
小規模多機能型施設は、他の介護施設とは異なる特徴を持つため、働くスタッフの業務内容や1日の流れも異なることがあります。施設や利用者が受けるサービス内容によって仕事内容や流れは異なり、複数のサービスを兼務する場合もありますが、小規模多機能型居宅介護で働くスタッフの1日の流れをご紹介します。
時刻 | 通所・宿泊サービス | 訪問サービス | |
8:30 | 出勤、1日のスケジュール確認、ミーティング 夜勤からの申し送り | 出勤、1日のスケジュール確認、ミーティング | |
9:00 | 利用者の自宅へお迎え | 利用者の自宅を訪問、介護サービス提供 | |
9:30 | バイタルチェック、入浴介助 必要に応じて通院や外出の付き添いも行う | ||
10:00 | 次の利用者の自宅へ移動、介護サービス提供 | ||
11:15 | 食事の準備 | 事業所へ戻る | |
12:00 | 食事介助 | 昼食、休憩 | |
13:00 | 休憩、レクリエーション | 利用者の自宅を訪問、介護サービス提供 | |
14:15 | 事務所へ戻り事務作業 | ||
15:00 | お茶とおやつの提供 | 利用者の自宅を訪問、介護サービス提供 | |
16:15 | 通所利用者を自宅まで送った後、施設の掃除、事務作業 宿泊サービス担当は出勤、ミーティング | 事務所へ戻り、報告書作成、翌日の予定確認 | |
17:00 | 通所サービス担当者は退勤、日勤への申し送り 宿泊サービス担当は夕食の準備 | 退勤 | |
18:30 | 夕食、食事介助、口腔ケア | ||
19:30 | 食事の片付け、服薬介助 | ||
20:00 | 消灯、就寝介助 | ||
21:00~6:00 | 見回り、体位変換、排泄介助、事務作業など | ||
6:00 | 朝食準備 | ||
7:00 | 朝食、食事介助 | ||
8:00 | 掃除、日勤者への申し送り、ミーティング | ||
9:00 | 退勤 |
小規模多機能型居宅介護の勤務体系・勤務時間
24時間365日運営されている小規模多機能型居宅介護での勤務体系は、主に通所サービスや訪問サービスを担当する日勤、宿泊サービスを担当する夜勤の2種類です。ただし、訪問サービスの場合は夜間に対応する場合もあるためこの限りではありません。
勤務時間も、多くの施設で基本的に日勤と夜勤の2交代制が取られています。日勤と夜勤どちらも入る場合もあれば、日勤のみまたは夜勤のみ専従で働ける施設もあります。
小規模多機能型居宅介護の平均給与
厚生労働省が取りまとめた令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果のデータによると、小規模多機能型居宅介護で働く介護職員の平均給与は、月給制の場合は常勤で28万9520円、非常勤で23万5270円でした。令和2年度の平均給与と比較すると、常勤で約5000円、非常勤で約3500円平均給与はアップしています。
日給制の介護職員の平均給与の場合は常勤が21万7250円、非常勤が15万1940円、時給制になると常勤で20万4620円、非常勤で12万460円です。日給制、時給制で働く職員の方が月給制で働く職員よりも平均給与が安く、かつ常勤と非常勤での給与差あることがわかります。
※出典:厚生労働省.「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
小規模多機能型居宅介護の仕事は正直きつい?
多くの介護施設では、通所のみまたは長期入所のみで介護サービスを提供していたり、訪問介護サービスを行っていたりします。しかし小規模多機能型居宅介護では、これら3種類のサービスすべてを提供しているため、仕事がきついと感じるかもしれません。
3種類のサービスを行うには覚えなければならない業務が増えること、夜勤があることが、小規模多機能型居宅介護での勤務がきついと感じる要因の1つです。また、送迎や訪問介護を1人で担当することがある点も責任が重く、緊急時など夜間のイレギュラー対応が求められる可能性があることも、きつい仕事と感じられるでしょう。
また、提供する3種類のサービスの変化が速いこともあるため、新しい業務に対応できるだけの能力も求められる点も、仕事の難易度を高めています。
小規模多機能型居宅介護の仕事の魅力
小規模多機能型居宅介護は29名までの少人数で利用する施設なので、一人ひとりの利用者に寄り添って密なコミュニケーションを取りながら介護ができるのが魅力です。
通所や訪問介護、宿泊の3種類の介護サービスを提供しているため、担当する業務の幅や種類は増えますが、その分やりがいがあり、介護職員としてのスキルアップが期待できる点も、小規模多機能型居宅介護で働く魅力でありメリットといえるでしょう。
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まとめ
小規模多機能型居宅介護は3種類の介護サービスを受けられる少人数制の介護施設ですが、働く介護職員は利用者一人ひとりの状況に柔軟に対応し、必要なサービスを提供する必要があります。
業務の幅や種類が多くはなりますが、介護職員としての働きがいを感じたい、ステップアップしたい方に適した施設です。今回ご紹介した小規模多機能型居宅介護での仕事の内容や流れを把握し、転職を目指してみてはいかがでしょうか。
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