介護コラム
厚労省が公表した「適切なケアマネジメント手法の手引き」について解説
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2021年に厚生省が公表した「適切なケアマネジメント手法の手引き」は、介護現場で指摘されているケアマネージャーごとのケアマネジメントの質のばらつきを改善し、ケアマネジメントの水準を一定以上に保つことを目的とした手引です。
この手引きを使用することで、ケアプランやアセスメントの抜け・漏れの防止、他職種との円滑な連携ほか、利用者の状況に応じたケアプランの見直しがしやすくなるでしょう。
今回は、「適切なケアマネジメント手法の手引き」の目的や意義について解説します。
※出典:適切なケアマネジメント手法の手引き
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/r2fukyu_betsushiryo.pdf
一定以上の水準を保ったケアマネジメントの提供を目的とした手引き
2021年6月、これまで国が検討してきた「適切なケアマネジメント手法の手引き」が公表されました。
その周知のために、厚生省労働省は「介護保険最新情報のVol.992」を発出し、現場のケアマネージャーなど関係者に対し、ケアマネジメントの質の向上に役立てるよう呼びかけました。
「適切なケアマネジメント手法の手引き」の目的は、ケアマネジメントの質を一定以上の水準に保ち、担当ケアマネージャーごとのばらつきをなくすことです。
第一章「適切なケアマネジメント手法」って何だろう?という項目では、この手引について、これまでのケアマネージャー達が実際に現場に携わりながら知り得た知識や理解を共通化し、それを体系化したものと説明しています。
また、紹介される手法は、ケアプランを標準化するためのものではないとも明記しています。
利用者の要望や支援内容はさまざまです。
そのため、提供するケアプランも利用者ごとに異なります。
たとえ初任段階のケアマネージャーであっても、利用者の目線から見て一定の水準のケアマネジメントを提供できるよう、具体的で根拠に基づいた仮説を持って情報の収集・分析を展開することを目指した支援内容になっています。
※出典:「適切なケアマネジメント手法の普及推進に向けた調査研究事業(令和2年度老人保健健康増進等事業)」の「手引き」について(情報提供)【その1】(介護保険最新情報のVol.992)
https://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/vol992.pdf
適切なケアマネジメント手法は「基本ケア」と「疾患別ケア」で構成されている
手引による適切なケアマネジメント手法は、高齢者の機能と生理を踏まえた「基本ケア」と、疾患に応じた特有な検討視点を盛り込んだ「疾患別ケア」の2段階で構成されています。
【基本ケア】
利用者が持つ疾患に関係なく、共通して重要な視点や必要な支援内容をまとめます。
【疾患別ケア】
基本ケアを押さえたうえで、利用者が持つ疾患別に必要な支援内容をまとめます。
疾患別ケアとして「項目一覧」と「適切なケアマネジメント手法 基本ケア及び疾患別ケア」が用意されている疾患は脳血管疾患・大腿骨頸部骨折・心疾患・認知症・誤嚥性肺炎の予防の5つです。
「適切なケアマネジメント手法の手引き」を使用する3つの意義
「適切なケアマネジメント手法の手引き」を介護現場で使用する意義としては、次の3つが挙げられています。
1. ケアプランやアセスメントの抜け・漏れ防止
ケアマネージャーがアセスメント(利用者の状態から、要望や希望を正しく知るために行う評価・査定)を行い、利用者ごとに適したケアプランの案を検討する際、必要な支援内容を判断するためのアセスメント項目が抜けてしまうことがあります。
「適切なケアマネジメント手法の手引き」を使用することで、そういった視点の抜けや漏れを防ぎ、利用者一人一人に一定以上の水準を保ったケアマネジメントを提供できます。
2. ケアマネージャーとほかの職種が連携しやすくなる
適切なケアマネジメント手法では、ケアマネージャーと他の職種が支援の必要性を判断するための情報として「相談すべき専門職」を記しています。
どの職種の人と連携し、情報を共有すればいいかをお互いが理解しやすくなるため、役割分担が明確になり、各職種が専門性を発揮して共働することができます。
3. 利用者の状態に応じたケアプランの見直しができる
「適切なケアマネジメント手法の手引き」にある疾患の療養の関する実証を参照することで、利用者の状態の変化に応じたケアの見直しがしやすくなります。
継続して必要な支援や新たに追加する支援、見直すべき支援など、疾患の特徴やモニタリングから把握した状況から、必要な支援内容を反映させていきます。
適切なケアマネジメント手法の手引き」は介護現場における基本知識と共通言語
「適切なケアマネジメント手法の手引き」は、さまざまな領域の専門職が集まる介護現場において、ケアマネージャー、一人一人のケアマネジメントの質の一定の水準以上に保つための基本知識と、他職種とのスムーズな連携をするために共通言語です。
「適切なケアマネジメント手法の手引き」を使用することで、必要な支援内容の抜けや漏れを防ぎ、ケアプランの見直しや他業種との協働を円滑化します。
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