介護コラム
処遇改善手当とは?介護でもらえない場合とは?
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厚生労働省の発表や報道などで “15,000円”といった数字が出ていますが、実際のところはどのような数字なのでしょうか。
処遇改善手当の制度が始まったからといって給料が上がっていない…という方もいることでしょう。
そこで処遇改善手当がもらえない場合についてもみていきましょう。
処遇改善手当とは
処遇改善手当は介護職員の賃金改善と雇用の安定化を目的に設けられた制度です。
この手当は処遇改善加算としてサービス料に上乗せして請求され、それにより得た収入を介護職員へ還元するものとなっています。
平成21年にその前身となる「介護職員処遇改善交付金」が設けられ、平成24年度から介護職員処遇改善加算としてスタートしました。
この介護職員処遇改善加算はどの事業所でも受けることができるわけではなく、指定基準を満たし、介護職員の処遇改善のための取り組みを図っている事業所であり、それを届け出て認められた上で受けることができる加算です。
処遇改善加算には事業所の取り組みのレベルに応じて加算率の段階があります。
制度の始まった平成24年度は加算が1〜3の3段階、平成 27 年度からは1~4 の 4 段階、と変遷を経て、この平成 29 年 4 月からは 1~5 の 5 段階となっています。
処遇改善手当の支給対象は
処遇改善加算は介護職員の賃金改善のために設けられたものですので、その支給の対象者
も介護職員と定められています。
この介護職員とは、デイサービス、入所施設などで直接介護にあたっている職員になり、この場合資格の有無は問いません。
しかし介護職以外の、例えば栄養士や理学療法士など、他の職種に従事している場合は支給の対象外となります。
また、直接介護を行わない管理者やケアマネジャー、サービス提供責任者も支給の対象と
はなりません。
あくまで直接介護を行っている者に対しての支給となり、そういう意味では正規職員やパートなどの雇用形態は関係なく、支給されることになります。
実際の現場では管理者や相談員・看護師などが介護を兼務している場合があります。
その場合は、サービスごとの指定基準上、兼務が認められており、職員配置が必要以上されている場合は処遇改善手当の支給対象となります。
参照元:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/10/dl/tp1023-1l.pdf
処遇改善手当がもらえない場合とは
厚生労働省による平成28年度介護従事者処遇状況等調査によると、処遇改善加算を取得している事業所の介護職員は前年度比9,530円の給与アップがされたことが報告されています。
あくまでもこれは処遇改善加算を取得している事業所における平均値であることに留意しましょう。
前述のとおり、処遇改善手当をもらうには処遇改善加算を事業所が取得しているが前提となります。
調査によると平成28年度に処遇改善加算を取得している事業所は全体の90%となっているため残りの10%の事業所は処遇改善手当を受けられないということになります。
90%というと比較的多くの事業所で取得しているという印象がありますが、サービスの種類や事業所の規模によっても取得率の差があり、一番高い介護老人福祉施設は、97.9%になっているのに対し、一番低い取得率となる訪問介護事業所は66.7%と30%以上低い値になっています。
なぜ処遇改善加算の取得のための届け出をしないのか、その理由で最も多いのが「事務作業が煩雑」で全体の44.3%となっています。
処遇改善手当を支給するには処遇改善計画書や処遇改善実績報告書の作成、職員への処遇改善手当の支給額を算定する、など煩雑な作業が伴います。
介護の現場において、特に小規模な事業所程、事務作業にさく時間と労働力を確保することが難しく、届け出を出すことが難しいのが現状です。
処遇改善加算を取得しない第2の理由としては「利用者負担の発生」で全体の37.8%となっています。
処遇改善加算は9割が公金ですが、1割は利用者負担となります。
利用者負担が重くなることへの配慮が伺えます。
なお「算定要件を達成できない」は全体の15.2%となっており、取得しようと思えばできるが、前述のようなその他の理由により取得しないケースの方が多いようです。
では、処遇改善加算を取得している事業所においてはどのような形で支給されているのでしょうか。
支給の方法としては「定期昇給」が最も多く69.7%、次に多いのが「各種手当の引き上げまたは新設」で29.9%となっています。
そもそもの目指すところである「賃金水準の引き上げ」は、16.4%と低い値となっています。
支給の方法や金額は事業所の裁量に任せられています。
そのため、事業所によって支給の方法や金額にばらつきがあるのです。
退職者がいる場合はその時期を避けて支給するなど人事事情も影響を与えることがあるようです。
同じ事業所であっても支給額は個人別に決められるため、職員によっても金額が違うということもあります。
参照元:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/dl/28point.pdf
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/dl/28kekka.pdf
介護職員の賃金改善のために始まった処遇改善手当ですが、報道のような“15,000円”と現実は異なるようです。
また、介護で処遇改善手当がもらえない場合は、事業所が介護職員処遇改善加算の届け出をしていないケースもあるからのようです。
給与明細を見ても不明な方は、お勤めの事業所へ事情を確認する必要があるといえます。
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