介護コラム
介護士と保育士になるならどちらのほうがいい?将来性や年収、業務内容などの観点から紹介
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介護士と保育士、どちらの仕事が自分に向いているか迷っていませんか?本記事では、仕事内容や資格取得の流れ、年収や労働環境、将来性を比較し、それぞれの職種の魅力や課題を徹底解説。さらに両方の資格を取得するメリットも紹介します。
介護士と保育士 どちらが大変と感じるのか
身体的負担の大きさ
介護士における重労働と夜勤
介護士は利用者の移動や移乗、入浴介助など肉体を大きく使う業務が中心です。特に腰痛や肩こりといった慢性的な疲労を抱えやすく、夜勤では利用者の急変対応や巡回によって深夜~早朝まで体力と集中力を維持し続けなければなりません。夜勤手当はつくものの、就寝時間が短くなり、翌日のシフトに影響が出るケースも少なくありません。
保育士における一日中の立ち仕事と体力消耗
保育士は園児の身辺援助や遊びのサポート、散歩や行事準備など、一日中ほとんど立ち仕事が続きます。子どもと同じ目線で動き回ることや、積み木やお昼寝の布団敷きといった細かい作業を繰り返すため、腰痛や足の疲労が慢性化しやすいのが特徴です。休憩時間が限られる園が多く、体力面で「思った以上に大変」と感じる人が少なくありません。
精神的・感情的ストレス
利用者や家庭とのコミュニケーション
介護士は認知症や難病などで意思疎通が難しい利用者と接する機会が多く、言語的・非言語的コミュニケーションの双方に高いスキルが求められます。また、家族からの要望や苦情に対応することもあり、人間関係の調整やケアプランのすり合わせで精神的に追い込まれる場面があります。
子どもの安全管理と保護者対応
保育士は園児の小さなケガや事故を未然に防ぐ責任を常に負っています。転倒や誤飲など思わぬ事故が起きた際には保護者への説明や園内報告が必要です。さらに保護者からのクレームや不安の声に寄り添うメンタルケアも求められるため、感情的な負担が大きくなります。
労働環境と勤務形態
シフト制と勤務時間の不規則性
介護士・保育士ともにシフト制が基本で、早番・遅番、夜勤など多様な勤務パターンがあります。プライベートの予定が立てづらく、生活リズムが不安定になりがちです。特に介護施設では夜勤明けの体調管理が難しく、保育園では遠足や行事前後の残業が増えるケースも珍しくありません。
人手不足による過重労働
どちらの業界でも慢性的な人手不足が深刻です。欠員が出ると他のスタッフが穴埋めをしなければならず、残業や持ち帰り仕事が増加します。特に少人数の施設や園では業務量が偏り、心身の疲労が蓄積しやすい状況です。
責任の重さと裁量
命を預かる介護の責任
介護士は高齢者や障がい者の命と生活を支える立場にあります。杖や車椅子を使う利用者が転倒すると大ケガにつながるため、細心の注意を払ってケアを行う必要があります。事故防止策や急変時の対応マニュアルを熟知し、緊急時には迅速に判断を求められるプレッシャーがあります。
子どもの成長を支える保育の責任
保育士は園児の発達段階に応じた保育計画を立て、安全な環境を整える義務があります。言葉の発達や対人関係の形成に与える影響は大きく、一人ひとりの個性や発達の遅れに気づき、適切な対応を行わなければなりません。成長記録や面談を通じた教育的配慮も求められるため、責任感が非常に強い職種です。
介護士と保育士の仕事内容を比較
介護士の主な仕事内容
身体介護
入浴、排せつ、食事補助など、利用者の身体的な自立を支援します。具体的には、車いすの移乗介助やベッドからの起き上がりサポート、着替えの手伝いなども含まれます。安全確保のための身体拘束回避や転倒予防にも注意を払います。
生活援助
掃除、洗濯、買い物代行、調理など、利用者が家庭的な環境で快適に過ごせるようにサポートします。家事動作の手順を一緒に行いながら利用者の自立を促すことも求められます。また、季節に応じた布団の取り替えや衣替えなども担当します。
レクリエーションやコミュニケーション
体操や手芸、脳トレーニングなど、多様なレクリエーション企画を通じて利用者の身体機能維持・向上を図ります。また、日常会話や趣味の話題提供を通じて心のケアを行い、孤立感の軽減や認知症予防にも寄与します。
保育士の主な仕事内容
子どもの保育と発達支援
乳幼児の食事、排せつ、睡眠、着替えなど日常生活全般のサポートを行います。さらに、発達段階に応じた遊びや学習活動を取り入れ、言語・運動・社会性の発達を促進。発達障害などの早期発見・支援が求められる場合もあります。
保護者との連携
日々の保育内容や子どもの成長記録を連絡帳や面談で共有し、家庭との協力体制を築きます。子育て相談や食事・睡眠のアドバイス、子どもの健康管理について情報提供し、安心できる育児支援を行います。
行事の企画と準備
運動会、発表会、お遊戯会、季節行事(七夕、クリスマスなど)の企画立案から会場設営、保護者への案内、当日の進行管理までを担当。子どもたちの創造力や協調性を育むとともに、チームワークや時間管理能力も求められます。
介護士と保育士の資格取得とキャリアパス
介護士の資格取得ルート
介護職への第一歩は「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」の修了です。通信講座や通学課程で130時間程度の講義・実技を学び、修了後は訪問介護や特別養護老人ホームなどで働くことができます。
その後、さらに専門性を高めたい場合は「介護職員実務者研修」を受講します。450時間+演習を経て修了すると、喀痰吸引などの医療的ケアが可能になり、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
最終的に「介護福祉士国家試験」に合格し、厚生労働大臣登録を受けることで国家資格保有者となり、ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格などキャリアの幅を広げることが可能です。
保育士の資格取得ルート
保育士資格は大きく2つのルートがあります。一つは「養成施設ルート」であり、4年制大学、短期大学、専門学校など保育士養成課程を修了する方法です。指定施設を卒業すると実技試験・学科試験が免除され、筆記のみで国家資格を取得できます。
もう一つは「一般試験ルート」で、社会人や他分野出身者向けに毎年実施される保育士試験(学科試験・実技試験)を受験します。学科に合格後、実技試験に合格すると保育士登録が可能です。
さらに幼稚園教諭免許や子育て支援員研修を併用することで、認定こども園や子育て支援施設での就業範囲が広がります。
それぞれのキャリアアップの道筋
介護士のキャリアパス
介護福祉士取得後は、現場リーダーや介護サービス提供責任者としてマネジメント業務を担当できます。さらに「認定介護福祉士研修」や「認知症介護実践者研修」を受講し、専門分野のスペシャリストを目指す道があります。
また、一定の実務経験と研修を経て「介護支援専門員(ケアマネジャー)」試験に挑戦でき、ケアプラン作成や調整役として地域包括支援センターなどで活躍する選択もあります。施設長やサービス管理責任者など管理職ポジションへの道も開かれます。
保育士のキャリアパス
保育士資格取得後は担任保育士として経験を積み、主任保育士や副主任に昇格することでクラス運営や職員指導を担います。さらに「こども園教諭資格」や「社会福祉主事任用資格」を併せ持つと認定こども園での役割が広がります。
園長を目指す場合は、実務経験や管理職研修を受けたうえで運営全般のリーダーシップを発揮します。加えて放課後児童クラブの指導員研修や地域子育て支援拠点でのコーディネーター職など、多様なフィールドでキャリア形成が可能です。
介護士と保育士の年収と給与水準
介護士の平均年収と給与水準
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和3年)」によると、介護職員の平均年収は約350万円前後です。初任者研修修了者が280万~300万円、実務者研修修了者が300万~320万円、介護福祉士資格保持者は320万~350万円程度と、資格や経験年数によって幅があります。
基本給のほか、夜勤手当(月4~6回で5万~8万円)、資格手当(介護福祉士で1万~2万円)、通勤手当や住宅手当などが支給されるケースが多く、賞与は年2回、合計で1.0~2.5ヶ月分が相場です。都市部の有料老人ホームや大手福祉法人では給与水準が高めですが、地方の小規模施設では平均より20万~30万円程度低いこともあります。
保育士の平均年収と給与水準
文部科学省・厚生労働省の調査をもとにした最新データでは、保育士の平均年収は約330万円前後です。認可保育園勤務者は330万~360万円、公立保育園では350万~380万円、認可外保育施設では300万~330万円が目安となります。
保育士の給与構成は基本給+地域手当+経験加算+処遇改善手当が中心で、賞与は公立で4ヶ月分前後、私立認可園で2.5~3.5ヶ月分が一般的です。また、延長保育や早朝保育などの時間外手当で年収が5万~10万円ほど増える場合があります。都市部では認可園の保育士不足を背景に採用条件が改善傾向にあり、地域格差は徐々に縮小しつつあります。
年収を上げるためのポイント
介護士は「介護福祉士」「ケアマネジャー」「認知症ケア専門士」など上位資格を取得し、資格手当や役職手当を増やすことが効果的です。夜勤回数を調整して手当を稼いだり、病院併設型や大手法人の施設へ転職することで、基本給や賞与の水準を上げやすくなります。
保育士は公立保育園や認定こども園への転職、主任保育士や副園長など管理職への昇格を目指すのが最短ルートです。保育士キャリアパス研修や実務経験加算制度を活用し、処遇改善手当を最大化しましょう。企業内託児所や院内保育所では一般的に給与水準が高めのため、求人動向をチェックすることも重要です。
介護士と保育士の将来性と需要
介護士の将来性と社会的な需要
日本は超高齢社会が進行しており、2025年には団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に達します。それに伴い、介護サービスの利用者数は増加の一途をたどり、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなどの施設需要も高まっています。
政府は地域包括ケアシステムの構築を推進し、在宅医療やリハビリ、ICTを活用した見守りサービスを拡充中です。介護福祉士やケアマネジャーの資格保有者は安定的に求められ、将来的にも人手不足の解消が急務とされるため、長期的なキャリア形成が見込めます。
保育士の将来性と社会的な需要
少子化が進む一方で、女性の就業率上昇や共働き世帯の増加により、保育所や認定こども園の整備は急務です。待機児童問題の解消に向けて、地方自治体や企業主導型保育の設置が進み、保育士のニーズは全国的に高い水準を維持しています。
また、幼児教育・保育の無償化や子ども・子育て支援新制度の導入によって保育の質向上が図られ、多様な保育プログラムの開発や専門性の高い人材育成が求められています。主任保育士や保育園長、指導教諭などへのキャリアアップも描けるため、中長期的に安定した職務展望があります。
介護士と保育士 どちらの仕事が向いているのか
介護士に向いている人の特徴
介護士の仕事は高齢者や障がい者の身体的・精神的サポートが中心となるため、以下のような特性を持つ方に向いています。
- 体力や持久力がある:移乗や入浴介助など、長時間の身体介護に耐えうる体力が求められる。
- 共感力・傾聴力が高い:利用者の小さな変化を観察し、思いに寄り添う力が重要。
- 柔軟な対応力:突発的なトラブルや利用者の体調変化に迅速かつ冷静に対処できること。
- チームワークを重視できる:介護スタッフや看護師、ケアマネジャーと連携しながら業務を進める協調性。
- ストレス耐性がある:利用者の介護状況や職場の人間関係など、多様なストレス要因に対処できる精神的強さ。
保育士に向いている人の特徴
保育士の仕事は子どもの成長支援や保護者対応、行事運営など多岐にわたるため、以下のような資質を持つ方が活躍しやすいでしょう。
- 創造力・発想力がある:遊びや教材を工夫し、子どもの興味を引き出すアイデアが豊富なこと。
- コミュニケーション能力が高い:子どもだけでなく保護者や同僚と円滑に意思疎通できるスキル。
- 観察力と分析力:子どもの発達段階や個性を的確に把握し、支援計画に反映できる能力。
- 忍耐力と温かさ:子どもの急なかんしゃくやトラブルにも根気強く対応し、安心感を与えられること。
- 行事運営力:遠足や運動会などの企画・準備・運営を効率よく進める計画性と調整力。
介護士と保育士 両方の資格を取得するメリット
専門性の幅が広がる
介護と保育、両分野の資格を持つことで、高齢者施設だけでなく認可保育園や認証保育所、児童発達支援センターなど、幅広い職場で専門知識を活かせます。たとえば、地域包括支援センターと保育園の連携プロジェクトでは、高齢者との世代間交流イベントを企画でき、双方の発達・健康支援に貢献できます。
また、介護現場で培った身体介護やリハビリ知識を活用して、園児の発育チェックや保護者への生活アドバイスが可能です。逆に保育士スキルを活かして、高齢者の認知機能維持に向けたレクリエーションの創出にも役立ちます。
転職やキャリアチェンジに有利になる
人手不足が深刻な介護・保育業界では、複数の資格保有者が採用や異動で優遇される傾向があります。たとえば、大手福祉施設が運営する保育所や、子育て支援と介護サービスを同一法人で提供する施設など、求人の幅が拡大します。
さらに、働きながらスキルアップを目指せる研修制度や、主任・施設長といった管理職ポストへの道も開かれやすくなります。両方の現場経験があることで、マネジメントや人材育成、地域連携を担う人材としての評価が高まります。
介護士と保育士 両方の視点を持つことの強み
両方の視点を持つことで、ケアプラン作成時に「子ども連れの利用者」や「孫世代との交流」を視野に入れた支援が可能になります。家族単位での生活支援提案や、世代間交流プログラムを組み込んだ企画力が強みとなり、地域包括ケアシステムの推進に貢献できます。
また、コミュニケーション能力の幅が拡がり、保護者や高齢者家族との信頼関係構築がスムーズになります。困りごとの早期発見や、生活習慣・発達課題への多角的アプローチが実現し、利用者満足度の向上につながります。
まとめ
介護士と保育士は、介護士が高齢者への身体介護や生活援助に特化し、保育士は子どもの保育・発達支援や保護者連携が主な業務です。年収は介護士が平均約330万円、保育士が約290万円。少子高齢化による需要増が見込まれるため、どちらも将来性は高く、両資格取得で専門性が広がり、転職やキャリアアップに有利です。
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