介護コラム
外国人介護士を現場で即戦力にする指導や教育方法とは
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超高齢化が加速化する現代日本では、介護職員の人材不足が年々深刻化しており、国による外国人介護士の受け入れが進められています。
日本の介護現場で外国人介護士が戦力となるまでには時間がかかるケースが多く、EPA(経済連携協定)によって外国人を受け入れた介護施設に対する調査によると、日本人職員と比べて介護技術を習得するまでにかかった期間は平均3.9ヶ月も長かったという結果が報告されています。[注1]
[注1]一般財団法人 厚生労働統計協会:介護現場における外国人介護労働者の評価と意欲
そこで今回は、外国人介護士を現場で即戦力にするための指導や教育方法をまとめました。
外国人介護士の即戦力化には教育・支援が重要
外国人介護士を即戦力として育てるには、外国人たちが業務を遂行するうえで感じている悩みや困り事をベースにした指導を行うことが大切です。
実際、EPAに基づく看護師・介護福祉士候補者への調査結果では、約8割以上の人が介護施設に対して何らかの教育や支援を求めています。[注2]
[注2] 一般社団法人 外国人看護師・介護福祉士支援協議会:第10回EPA受入施設及び看護師・介護福祉士候補者調査
では具体的にどのような教育・支援を求めているのか、代表的な例を2つご紹介します。
1.日本語教育のサポート
最も支援の声が多かったのは、日本語教育へのサポートです。
平成29年に創設された在留資格「介護」をもつ外国人介護士は、原則として2年間にわたり、日本語学校で生活・学習を行っています。
そのため、外国人介護士のほとんどは基本的な日本語能力を有していますが、介護現場という特殊な環境下において円滑にコミュニケーションを取れるレベルには至っていません。
言語の壁はときとして業務における大きな支障になりますので、日本語教育のサポートは最優先すべき項目です。
2. 給与体系・手当の見直し
日本でも介護職は薄給激務の代表格とされており、働く人のモチベーションや定着の低下を招いています。
日本に働きに来ている外国人の多くは、母国の賃金が低い・仕事がないなどの理由で来日していますが、やはり日本の介護職の給与に不平・不満を感じている方も多く、先の調査では全体の約3割の人が給与体系や手当の見直しを求めています。[注3]
[注3] 一般社団法人 外国人看護師・介護福祉士支援協議会:第10回EPA受入施設及び看護師・介護福祉士候補者調査
雇用する側も予算の関係上、外国人介護士の基本給を増額するのは難しいところですが、キャリアアップを支援することで給与や手当を見直すことは可能です。
キャリアアップの支援は、外国人介護士の質の向上にもつながります。給与・手当の見直しにはキャリアアップが必要であると伝えたうえで、適切なサポートを行えば一石二鳥の効果が期待できます。
外国人介護士を即戦力にするための指導・教育のコツ
外国人介護士の受け入れ後、現場で即戦力として働いてもらうために実践したい指導・教育のコツを3つご紹介します。
1.わかりやすい日本語で話す
外国人介護士に正しく、かつ確実に理解してもらうためには、できるだけわかりやすい表現で話すことが大切です。
まず基本は、ゆっくり・はっきり話すこと。多忙を極める介護現場では、つい早口で指示を出してしまいがちですが、相手に理解してもらえないと二度手間になり、かえって時間がかかってしまいます。
また、外国人介護士は不慣れな日本語の聞き取りに手一杯と考えましょう。一度にあれこれ話すと理解が追いつかず、混乱してしまうおそれがあります。
一度に話す内容はなるべく短い文にまとめ、相手がちゃんと内容を理解したかどうか、しっかり確認しながら話を進めましょう。
介護現場では専門用語も扱いますが、外国人介護士に接するときは難しい漢字や単語は使わず、シンプルな言葉を使うことを心がけます。
話し口調もできるだけ「です」「ます」で統一し、方言などを交えない標準語で話すのがポイントです。
2.日本語の指導では敬語や発音に注意する
スタッフ同士であれば、言葉づかいや発音の違和感はさほど大きな問題に発展しませんが、施設利用者とのコミュニケーションでは、ささいな対応の間違いがクレームやトラブルにつながるケースもあります。
外国人介護士に日本語を指導する際は、まず施設利用者への対応を優先し、丁寧語や敬語の基本的な使い方を指導しましょう。
また、外国人が話す日本語は発音やイントネーションが独特で、場合によっては内容を理解しにくいことがあります。さらに外国人は早口になりやすいので、発音のクセと共に、話すスピードが適切かどうかのチェックも必要です。
3.キャリアアップのための支援
介護福祉士の資格を取得すると、サービス提供責任者やケアマネージャーなど、責任ある立場に就任することができます。
外国人介護士がより強力な即戦力に育つのはもちろん、役職に就けば基本給や手当の増額も見込めるようになりますので、外国人介護士のニーズとも合致します。
また、在留資格「介護」の場合、養成校卒業後、5年以内に介護福祉士の資格を取得すると在留資格が延長されます。
将来的に施設で長く働いてもらう可能性も高くなりますので、キャリアアップの支援は施設側・介護士側の双方にメリットがあります。
最もスタンダードな支援は養成校への通学サポートですが、ほかにも、市販の学習教材の支給、オンライン学習の環境整備、日本語ボランティア団体との連携支援など、資格取得のために行える支援はたくさんあります。
また、直接的な教育のほかに、国家試験前に学習時間を確保しやすいシフトを作成するなど、間接的な支援を行う方法もあります。
日本語教育・キャリアアップなどの支援で外国人介護士を即戦力に育てよう
慢性的な人手不足に悩まされる日本の介護現場では、雇用した外国人介護士を即戦力に育てる指導・教育が急務とされています。
多くの外国人介護士が求めている日本語学習およびキャリアアップへの指導・支援に力を入れれば、長期間にわたり、大きな戦力となってくれるでしょう。
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